一人旅のお供に、そっと一冊の本をしのばせるだけで、旅の時間はぐっと豊かになります。
移動中の退屈な時間が物語の世界に変わり、旅先で感じた気持ちがエッセイの言葉と重なる。
そして、ふとした瞬間に、自分と向き合う時間が生まれる。
本には、旅の孤独をやわらげたり、勇気をくれたり、景色の見え方さえ変えてくれる力があります。
この記事では、一人旅をもっと味わい深いものにしてくれる本だけを、厳選して紹介します。
読みやすく、持ち歩きやすく、今のあなたの旅に寄り添う本。
そんな旅のお供にしたくなる一冊が、きっと見つかります。
一人旅で読みたいおすすめ本15選|ジャンル別で選べるラインナップ

一人旅に持っていく本は、旅のテーマや気分によって変わります。
静かに心を整えたいときはエッセイ、物語の世界に浸りたい日は小説。
また、旅の目的を見つめ直したいときは生き方本など。
ここでは、旅の状況やあなたの気分に合わせて選べるよう、おすすめの本を紹介します。
一人旅で読みたい本|心に残る旅の相棒
一人旅には、自分だけの時間を満たしてくれる旅の相棒があると心強いものです。
本を持っていけば、移動中の電車やカフェでのひと休みにもなります。
ここでは、一人旅の気分を高め、心に残る読書体験におすすめの本を紹介します。
『猫町』萩原朔太郎
『猫町』は、一人旅でのちょっと不思議で幻想的な体験に寄り添う本としてぴったりです。
移動中にサッと読めて、旅先の空気感を想像力で補完できる点も魅力。
自分の旅先の景色や出会いを重ねながら読むと、より旅の思い出が豊かになる感覚を楽しめます。
『かりそめの星巡り』石沢麻衣
ドイツでの暮らしと故郷・仙台への記憶を静かに重ね合わせた、詩情あふれる作品。
芥川賞作家らしい言葉への繊細なまなざしが光り、記憶の境界を見つめる。
自己を隠しつつ旅する心を描くその語りは、読後もしばらく胸に柔らかく残る感覚があります。
『青ヶ島ハードモード』後藤羽矢子
日本一上陸が難しい島とされる青ヶ島を舞台に、実際に訪れた体験をエッセイ漫画で描いた一冊。
交通の困難さがリアルに伝わる一方で、島の絶景や静かな暮らしにも丁寧に目を向ける。
読んでいると、孤島の厳しさと美しさ、その両方に心が惹かれる旅になります。
移動中の時間が宝になる本|電車・バス・飛行機で読みたい
旅の移動中、ただ座っている時間も実は貴重な読書タイムに変えられます。
街の風景や異国の空気を感じながら、心をほどいたり想像力を膨らませたり。
ここでは、旅の合間にサッと読めて、一人旅の時間をもっと豊かにしてくれる作品を紹介します。
『雨天炎天』村上春樹
村上春樹さんがギリシャを巡る旅を綴ったロード・エッセイ。
移動中のペース感や旅の細部描写がリアルに感じられます。
写真付きの新装版では、辺境の風景がよりリアルに伝わり、異国の空気感を味わえる一冊です。
『台所で考えた』若竹千佐子
63歳で主婦から作家へ転身し、芥川賞を受賞した若竹千佐子が綴る初の作品。
日常の家事、台所という暮らしの基点から、静かに、しかし力強く思索を深める。
旅という違う視点から、家庭の中での人間の本質に胸が熱くなる一冊です。
『近くも遠くもゆるり旅』益田ミリ
近場の新宿から憧れのスイスまで、自由気ままに旅した記録をつづったエッセイ集。
国内外をゆるりと巡りながら、美味しい食や日常の小さな発見を丁寧に描いています。
読んでいるだけで旅心がくすぐられ、肩の力が抜ける心地よさが魅力。
旅情あふれる小説|心が動く物語を旅のお供に
移動時間やカフェでのひと休みに、小説は最高の旅のお供です。
ページをめくるたびに景色の見え方が変わり、物語の余韻が旅の記憶と混ざり合います。
特に、主人公の心の動きや、旅先の描写が丁寧な小説がおすすめです。
一人旅の孤独や、高揚感にそっと寄り添ってくれます。
『旅猫リポート』/有川 浩
飼い猫「ナナ」とその飼い主・悟が、日本を車で旅するロードノベル。
季節の移り変わり、人との再会、別れ、絆が静かに描かれていています。
読んでいると、優しく心が温まる旅になる一冊。
『コンビニ人間』(村田沙耶香)
旅は日常から離れ、他者と距離ができる時間。
恵子の独特な視点や、生き方に触れると、私の生き方はどうだろう?と、自然に考え始めます。
旅の合間にちょうどよく、短時間で読み切れます。
『かもめ食堂』(群ようこ)
北欧・ヘルシンキの描写は、実際に旅しているかのような静けさと清々しさ。
一人旅の夜に読むと、ちょっとした安心感が湧くタイプの本。
フィンランドの空気感が旅情を誘う、静かで温かい物語です。
旅の気分が高まるエッセイ|軽く読めて心地よい作品
エッセイは、旅先で開いてすぐ読める読みやすさが魅力。
一人旅の気分を高めたり、道中で感じたことを言葉として整理する助けになります。
肩の力を抜いて読める作品は、夜の宿やカフェ時間にもぴったりです。
『旅をする木』(星野道夫)
旅とは、世界に触れ、自分に触れる時間だと、静かに教えてくれる作品です。
移動中やカフェ、宿泊先の夜、どこでも読めて心に沁みます。
旅の空気が、透明になるような本です。
『ほぼ日刊イトイ新聞の本』(糸井重里)
ひと区切りが短いので、旅のすき間時間にちょうどいい長さです。
一人旅でちょっと気持ちが沈みそうな時、すっと肩の力が抜けるような言葉に出会えます。
旅の孤独が、軽やかさに変わる本です。
『旅ドロップ』(江國香織)
旅先で出会った風景、食べ物、人、動物などが小さな物語のように綴られてます。
とても温かく、静かな旅の気配が感じられ、1話が短めなので、隙間時間に読めます。
旅のスローな時間にぴったりフィットします。
人生観が変わる自己啓発・生き方本|旅の目的が見えてくる
旅に出ると、自分の人生を見直したいと感じる瞬間があります。
そんなときは、生き方や価値観に気づきをくれる本が旅のお守りになります。
重すぎず、旅先で読みやすい一冊を選びました。
『嫌われる勇気』(岸見一郎/古賀史健)
自分はどう生きたいか?を問われる本で、一人旅の内省と相性抜群。
章ごとに独立性があり、移動中でも読みやすいです。
旅の途中で、人生の視点が変わる可能性のある作品。
『人生はニャンとかなる!』水野敬也
写真・動物の癒しと名言で、読みながらリセットできます。
1~2ページで完結するため、移動中のちょっとした時間にも最適。
心をほぐしながら前向きにしてくれる、一人旅の静かな時間に寄り添います。
『道をひらく』(松下幸之助)
各ページが独立した短い文章で、どこから読んでもOK。
言葉に力があり、旅先での心の整え直しに最適です。
持ち歩きやすい、コンパクトさが旅向きで、旅の夜にそっと語りかけてくれます。
一人旅で読みやすい本の選び方|荷物・重さ・読み切れる量を意識する

一人旅に本を持っていくときに大事なのが、読みやすさと、持ち歩きやすさ。
旅は移動が多く、荷物の重さや、読書できる時間も限られがち。
だからこそ、軽くて疲れず、スキマ時間でも読み進められる本を選びたいものです。
ここでは、旅を快適にするための本選びのポイントを、3つの視点からわかりやすく紹介します。
荷物を軽くしたい人は文庫本 or 電子書籍が最適
一人旅の荷物は、少なければ少ないほど身軽です。
本を持っていく場合も、文庫本や電子書籍を選ぶと、重さのストレスから解放されます。
文庫本は軽くて片手で読みやすく、バッグにもサッと入る大きさ。
一方、電子書籍はさらに身軽で、スマホやKindleがあれば、1台で済みます。
特に、読み切れないかも、気分で本を変えたいという人には、電子書籍が相性抜群。
移動中、宿、カフェなど、どんなシーンでも気楽に読めます。
旅の雰囲気を壊さない疲れない読みやすさを選ぶ
旅は思っている以上に体力を使います。
歩き疲れた夜や、長い移動時間に読む本は、重たい内容だと一気にツラくなります。
旅の雰囲気を大切にしたいなら、軽やかに読み進められるかどうかが重要です。
おすすめポイント
- 行間に、余裕がある本
- ストーリー展開が、わかりやすい作品
- 短めの章で、区切られている本
こうした本は、急に読書を中断しても戻りやすく、疲れた頭でも入りやすいのが大きなメリット。
カフェや景色のいい場所で読むと、物語の空気と旅の空気が混ざって特別な読書時間になります。
スキマ時間で読み切れる短編・連作短編もおすすめ
一人旅では、意外とまとまった読書時間が取れません。
電車の待ち時間、ホテルのチェックイン前、食事後の少しの時間。
こうしたスキマ時間にサッと読める短編や連作短編は、旅との相性抜群です。
短編なら1話ごとに完結するので、場所を選ばず読めて、途中で中断してもストレスフリー。
連作短編は、ゆるやかにつながる物語を、少しずつ楽しめるのが魅力です。。
読書に時間を取られすぎず、旅気分を高めたいという読者には、満足度の高いジャンルです。
一人旅に本を持っていく理由|読書が旅をより深くしてくれる

一人旅は、自分のペースで自由に過ごせるからこそ、手持ちぶさたになりがちです。
そんなとき、本は旅の時間を豊かに変えてくれる心強い相棒になります。
移動時間の、退屈を心地よい読書時間に変えたり。
旅先で感じた気持ちを、言葉で整理してくれたり。
また、孤独をやわらげてくれることもあります。
ここでは、一人旅に本を持っていく理由を、5つの視点から解説します。
移動時間を価値ある時間に変える|読書で旅が始まる瞬間が特別になる
一人旅では、移動中に過ごす時間が思いのほか長くなることがあります。
電車やバス、飛行機の時間をただ座って待つだけにするのはもったいないですね。
そんな時、本を持っていれば、その時間が一気に特別な体験に変わります。
ページをめくるたびに物語や世界観に没入でき、旅全体の満足度を底上げしてくれます。
旅先での気づきや感情を深める|言葉が心に残り旅の思い出になる
旅先で見た景色や出会った人々の印象は、時間とともに薄れてしまうことがあります。
しかし、本を読むことで、文章や物語がその瞬間の感情や気づきを言語化してくれます。
旅の体験と本の内容がリンクすることで、ただ眺めていた景色が深く心に刻まれるのです。
そして、思い出として、より鮮明に心に残ることでしょう。
孤独や不安を和らげる|一人旅でも心に寄り添う存在になる
一人旅では、ふとした瞬間に孤独や不安を感じることがあります。
そんなとき、本はそっと寄り添ってくれる存在になります。
登場人物の心の動きや、筆者の言葉に触れることで、ひとりでも大丈夫と安心感が生まれます。
心に余裕が生まれると、旅の孤独が、読書を通して静かで心地よい時間に変わるのです。
旅の目的やテーマを意識できる|読書が行動や選択を導く
旅に出ると、何を優先して体験するか迷うこともあります。
そんなとき、読書は旅の方向性を考えるヒントになります。
自分がどんな体験を大切にしたいか、どの景色や街で心を動かしたいか。
旅の行動や選択を、自然に導いてくれます。
読書が、旅の目的をより明確にするきっかけになるのです。
旅の記憶を言葉とともに残せる|読書が体験の深みを増す
本を読むことで、旅の体験に言葉を添えることができます。
気持ちを言語化することができ、旅の記憶がただの映像ではなく、深みのある体験として残ります。
読書は、旅を単なる移動や観光に留めず、心と頭で味わい尽くす手助けをしてくれるのです。
一人旅に本を持っていくときの注意点|読み切れない・重い問題を解決

一人旅に本を持っていくときに多い悩みが、結局読めない、荷物が重いという2つの問題です。
旅は思った以上に予定が変わりやすく、読書の時間が取れないことも少なくありません。
また、本の重さや管理も移動のストレスにつながります。
だからこそ、読み切れない問題・重さ問題を事前に解決しておく工夫が大切。
ここでは、旅先でちょうどよく本を楽しむための注意点と選び方を紹介します。
読み切れない問題は1冊と予備1冊で解決する
一人旅では、読書できる時間を正確に予想するのが難しいものです。
複数冊を持っていくと荷物が増えるうえ、結局読まないことに。
そこでおすすめなのが、読みたい本1冊と軽めの予備1冊というシンプルな組み合わせ。
気分に合わなかったらどうしよう、という不安は、予備1冊があれば解消できます。
予備の本は、短編やエッセイなど、どんな気分でも読みやすいジャンルが最適。
これなら荷物を増やさず、読書の満足度だけアップできます。
重さが気になる人は電子書籍アプリを併用する
旅の荷物を最小限にしたい人には、電子書籍の併用がもっともストレスのない方法です。
スマホやタブレットがあれば、何十冊でも軽さゼロで持ち歩ける最強の読書ツールになります。
おすすめの使い方
- メインの一冊 : 紙の文庫本
- 気分転換の数冊 :Kindleや楽天Koboなどの電子書籍
紙と電子の、ハイブリッドスタイル。
旅先で急に読みたい気分の本を追加購入できるのも、電子書籍の大きな利点です。
電子書籍をうまく取り入れることで、不安をすべて解決できます。
カフェ・宿での読書を前提に選ぶと失敗しない
旅中の読書は、ホテルの部屋やカフェで読むことが多くなります。
車内のように集中しにくい場所よりも、静かで落ち着く環境で読む。
その理由から、ゆっくり読める本を選ぶことがポイントです。
選ぶ基準
- しっかり腰を据えて、読みたい小説
- 感情を味わいながら、読みたいエッセイ
- ホテルの夜に読みたくなる、落ち着く内容
こういった、旅の静かな時間に合う本は、読み終えたときの満足度が高くなります。
どこで読むかを意識して選ぶだけで、読書と旅の相性がぐっとよくなります。
まとめ|一人旅のお供にちょうどいい本があると旅はもっと豊かになる

一人旅では、本を持っていくかどうかで、旅の時間の充実度が大きく変わります。
移動中の時間を楽しむことができ、旅先で感じた気持ちを整理でき、孤独をやわらげてくれる。
そんな、ちょうどいい本があるだけで、旅の体験はより深く、豊かなものになります。
選び方のポイントは、シンプルです。
軽くて読みやすい本を選び、荷物の量や時間に合わせて1冊+予備1冊。
または、電子書籍を併用する。
さらに、旅の雰囲気や自分の気分に合ったジャンルを意識すると、読書の満足度は格段に上がります。
次の一人旅では、ぜひお気に入りの本をひとつカバンに入れて出かけてみてください。
ページをめくるたびに、旅の時間がもっと特別なものになり、記憶にも深く刻まれるはずです。

