新入り猫を迎えたばかりなのに、先住猫を噛んでばかり、と心配になりますよね。
実はそれ、猫同士の関係づくりにおいてよくある行動なんです。
ただし、放っておくと関係が悪化してしまうこともあるので、注意が必要です。
この記事では、新入り猫が先住猫を噛む主な理由と、すぐできる対処法をわかりやすく解説します。
猫たちが安心して過ごせる関係を築くためのヒントを、ぜひ最後まで読んでみてください。
新入り猫が先住猫を噛む主な理由とは?

新入り猫が先住猫に噛みつく姿を見て、いじめてる?、仲が悪い?と不安になる方は多いでしょう。
でも、必ずしも敵意から来る行動とは限りません。
猫同士の関係性や成長過程によって、噛みつきの意味は大きく異なります。
ここでは、代表的な5つの理由を解説します。
縄張り争いによるストレスや不安
猫にとって縄張り(テリトリー)は、自分の安心できる世界そのものです。
そこには好きな場所、安心できる匂い、落ち着いた生活リズムが詰まっています。
そんな空間に新入り猫が突然現れれば、先住猫は自分の場所を奪われるかもと、強い不安を感じます。
このとき、新入り猫が積極的に動き回ると、先住猫は大きなストレスを抱えます。
威嚇や噛みつきといった攻撃的な行動で、ここは私の場所だと主張することがあります。
一方、新入り猫の側も、見知らぬ環境にとても戸惑います。
自分を守るという思いから、噛む行動につながるケースがあります。
つまり、噛みつきは単なるケンカではありません。
安心できる場所を確保したい、不安を解消したいという猫本来の防衛反応なのです。
遊びの延長で加減がわからない
子猫や若い猫に多いのが、遊びの一環として噛んでしまうケースです。
猫にとって噛むという行為は、狩りの本能を刺激する大切な遊びの要素。
兄弟や親猫と過ごす中で、噛む強さや止めどきを学んでいきます。
ところが、まだ社会化が十分でなかったり、エネルギーが有り余っている新入り猫は、つい力加減ができずに先住猫に噛みついてしまうことがあります。
このとき先住猫が大人しく受け止めてしまうと、新入り猫は噛んでも大丈夫だと誤解してしまいます。
逆に先住猫が反撃すると、関係悪化につながる恐れもあるため、飼い主のフォローが重要になります。
つまり、新入り猫が噛むのは、ただ遊びたいという気持ちの表れである場合も多いのです。
焦らず適切に遊びをサポートすることで、少しずつ噛む強さをコントロールできるようになります。
先住猫との関係も、穏やかに保ちやすくなります。
社会化不足や親兄弟との早期離別
子猫は、生後2〜3か月の間に親猫や兄弟猫と一緒に過ごすことで、噛む強さの加減や、相手との適切な距離感を学んでいきます。
ところが、ペットショップでの販売や保護の事情などで、あまりに早く母猫や兄弟から離れてしまうと、こうした大切な学習の機会を逃してしまうのです。
その結果、甘噛みと本気の噛みつきの違いが分からなかったり、遊びの中で力加減を誤ってしまったりすることがあるのです。
こうした社会性の不足は、他の猫との接し方に影響を与えることがあります。
先住猫に対する警戒心や防衛反応
新入り猫が噛みつく大きな原因のひとつに、先住猫への警戒心があります。
相手が近づいてきたら攻撃して追い払おう、という防衛反応が出やすいです。
その反応が、噛みつき行動として現れることがあります。
お互いのにおいに慣れていない、初期段階での防衛反応が強いようですね。
少しの接触にも過剰に反応し、先に攻撃しておこうと、噛みついてしまうということです。
飼い主の対応による誤学習(強化された行動)
猫の噛みつき行動は、本来は警戒心や遊び心から出るものです。
ところが、飼い主の対応によって、噛めば思い通りになると学習してしまうことがあります。
たとえば、新入り猫が先住猫を噛んだときに大きな声で反応したり、すぐに抱き上げたりすると、猫にとってはかまってもらえた、注意を引けたと受け取られ、噛む行動が強化されてしまうのです。
さらに、噛みついたあとにおやつを与えたり、遊んであげたりすると、噛むといいことが起きると誤解させる原因にもなります。
これが繰り返されると、猫は行動をやめるどころか、ますます噛むことを習慣にしてしまうのです。
そのため、噛みついたときには過剰に反応せず、静かに距離をとりましょう。
猫ちゃん大好きな段ボールに、爪とぎもついて。
隠家として、ストレス解消として、お役立ちキャットハウスです。
新入り猫が先住猫を噛むことをやめさせるための対処法

新入り猫が先住猫を噛む行動にはさまざまな理由があります。
そのまま放置すると関係が悪化し、双方にストレスが蓄積する恐れがあります。
そこで重要になるのが、噛みつき行動を見極めて適切に対応することです。
ここでは、家庭で実践できる具体的な対処法としつけのポイントを紹介します。
無理に仲良くさせようとしない
新入り猫と先住猫がなかなか打ち解けないと、焦りますね。
つい早く仲良くなってほしいと思って、一緒に過ごさせたくなるものです。
ですが、猫はもともと単独行動を基本とする動物です。
初対面の相手をすぐに受け入れるのは、難しい場合が多いです。
無理に接触させてしまうと、先住猫に強いストレスがかかったりします。
また、新入り猫が防衛本能から、さらに攻撃的になったりする恐れもあります。
大切なのは、猫同士の距離感を尊重することです。
最初は部屋を分けてお互いの気配や匂いに慣れさせ、段階を踏んで顔合わせをしていきましょう。
焦らず見守る姿勢が、結果的に良い関係づくりの近道になります。
お互いにストレスが少ない環境をつくる
噛みつきの背景には、ストレスや不安の蓄積も大きく関係しています。
以下のような環境改善も。噛みつき防止につながります。
- 隠れられる場所や高低差を確保する
- キャットタワーや爪とぎなどでエネルギー発散
- トイレや食器の数を十分に設置して取り合いを防ぐ
- おもちゃや遊びで新入り猫のエネルギーを発散させる
特に先住猫の居場所を尊重しつつ、新入り猫にも自分の安心できるスペースを与えることが大切です。
社会性のトレーニングは今からでも遅くない
子猫の社会化期(生後2~9週頃)に親兄弟と過ごすことが理想です。
しかし、早くに離されてしまった猫でも、成長してから少しずつ社会性を学ぶことは十分に可能です。
たとえば、飼い主が穏やかな声かけや優しいスキンシップを通して、安心できる人との関わり方を教えたり、短時間から先住猫と顔を合わせる練習を重ねたりすることが効果的です。
また、遊びを通じて甘噛みの加減や、噛まずに関わる方法なども、社会性を補う大切なポイントです。猫用のおもちゃを使ってエネルギーを発散させながら、落ち着いた行動をしたときに褒めたりご褒美を与えたりすれば、良い習慣として身につきやすくなります。
過去の環境がどうであれ、今からでも猫同士・人との関係を豊かにする練習はできるのです。
時間をかけて安心できる経験を積ませていくことが、将来の穏やかな関係づくりにつながります。
どうしても直らない場合は専門家に相談を
自宅でできる対処法を試しても改善が見られない場合は、専門家にそうだんしましょう。
動物行動学に詳しい獣医師や、猫専門のトレーナーに相談するのも選択肢です。
健康上の問題が隠れている可能性や、複雑な関係性が背景にある場合も考えられます。
早めの対応が、悪化を防ぐカギになります。
大切なのは叱るよりも導く姿勢
猫は叱ってもしつけにはなりません。
大声で叱ったり手で押さえつけたりすると、猫は恐怖や不信感を抱きます。
人や先住猫への警戒心が、ますます強まることになります。
その結果、噛む行動が悪化したり、隠れてしまったりすることもあるのです。
効果的なのは、望ましい行動を褒めて導く姿勢です。
叱られるよりも、行動の結果としてポジティブな経験を積むことで学習します。
焦らず、優しく導くことを意識しましょう。
少しずつ噛みつき行動を減らし、先住猫との信頼関係を築くことができてきます。
焦らず・怒らず・猫の気持ちに寄り添った対応を続けていきましょう。
主さんも一緒に遊んで、猫ちゃんとの時間を。
コロコロと転がりながら、木のボールが転がる音も楽しそうです。
先住猫へのケアも忘れずに!安心できる環境を保とう

新入り猫が来ると、どうしてもその子の行動や慣れ具合に目が行きがちです。
しかし、家庭の中で一番ストレスを感じているのは、実は先住猫かもしれません。
長年ひとりで暮らしてきたところに、突然他の猫が現れるのですから。
これは、猫にとって縄張りの侵入者がやってきたのと同じ感覚なのです。
先住猫の生活リズムを優先する
新入り猫がやってくると、つい新しい子に意識が集中してしまいがちです。
しかし、先住猫の生活リズムや、居場所を尊重することが非常に大切です。
猫は習慣の生き物で、日常のルーティンが変わると、強いストレスを感じることがあります。
先住猫のテリトリーをしっかり守りましょう。
新入り猫には別のスペースを用意することで、自分の居場所が奪われず、安心できます。
また、食事やスキンシップの時間も従来通りに行うことが、心の安定につながります。
焦らず、先住猫の安心を第一に考えることが、猫同士の関係改善の鍵です。
愛情のバランスにも注意!
新入り猫がかわいくて、ついそちらばかり構ってしまう。
これは誰にでも起こりがちなことです。
ですが、先住猫の気持ちも忘れずにケアすることが重要です。
先住猫にとっては、自分が後回しにされる感覚がストレスや不安の原因になることがあります。
その結果、先住猫が攻撃的になったり、新入り猫との関係が悪化したりすることもあるのです。
対応策としては、意識的に先住猫とのスキンシップや遊びの時間を確保することが有効です。
あなたのことも大切にしていると、伝える工夫をしましょう。
また、先住猫だけと過ごす時間をつくることで、安心感と信頼感を保つことができます。
ちょっとした声がけや、そっと近くに座ってあげるだけでも、猫は十分に安心を感じます。
逃げ場と高い場所の確保を
猫は自分のペースで安心できる空間を持つことで、精神的に安定しやすくなります。
特に新入り猫が来たばかりの環境では、先住猫は警戒心からストレスを感じやすくなります。
逃げ場や高い場所がないと、噛みつきや威嚇といった攻撃的な行動に出ることも。
対応策としては、キャットタワーや棚の上、隠れられる箱や小さな部屋など。
先住猫が自由に避難できる場所を複数用意することが効果的です。
高い場所や隠れられる空間は、安心感を与え、先住猫が落ち着くためのセーフティゾーンになります。
また、新入り猫にも同様に、自分だけの居場所を用意しましょう。
お互いの接触を強制せずに距離を保ちながら関係を築くことができます。
猫同士の関係は、無理に近づけるより、安心できるスペースを尊重することが先決。
このような場所があることで、無理に関わらなくてもいいと思えるようになり、余裕が生まれます。
新入り猫のにおいをゆっくり慣らす
猫は、視覚よりもにおいで相手を認識する動物です。
新入り猫が来たばかりの段階でいきなり直接対面させると、先住猫は未知の侵入者と感じて強い警戒心やストレスを抱きやすくなります。
そこで有効なのが、においを通じて少しずつ慣れさせる方法です。
例えば、新入り猫のタオルやおもちゃを先住猫のいる部屋に置きます。
逆に先住猫のにおいを新入り猫に感じさせるなど、間接的にお互いの存在を知るステップを踏みます。これにより、敵ではない、同じ空間にいても安心という認識が徐々に育ちます。
さらに、においに慣れてきたら、ドア越しや柵越しで視覚的に相手を確認させると、接触前に警戒心が和らぎやすくなります。
焦らず時間をかけて慣らすことが、猫同士の関係をスムーズにするポイントです。
先住猫を安心の中心に
先住猫の安心感を優先することが、猫同士の関係を円滑にする鍵です。
先住猫が安心できる居場所や高い位置、隠れられるスペースを確保すること。
また、遊びやスキンシップの時間を意識的に取ること。
その関りが、自分も大事にされていると感じさせることができます。
飼い主の声かけや穏やかな存在感も、猫にとって安心の要素となりますね。
さらに、先住猫が安心して過ごせる環境を整えることは、新入り猫にとっても良い影響を与えます。
先住猫が落ち着いているのは、新入り猫も安心できるということ。
無理に仲良くさせなくても、自然に距離を縮めやすくなります。
ポイントは、先住猫の安心を中心に考えた環境作り。
これが、新入り猫との関係をスムーズに築くための土台となります。
焦らず、ゆっくり、信頼のバランスを整えていきましょう。
やはり猫ちゃんには高い場所と、遊べる環境。
お互いの猫ちゃんの居場所を、確保してあげたいですね。
まとめ|新入り猫が先住猫を噛む理由を理解しよう

新入り猫が先住猫に噛みつく理由は、単なる意地悪やケンカではありません。
縄張り意識、不安やストレス、遊びの加減がわからない、社会化の遅れ、そして飼い主の反応による誤学習など、噛む背景には複雑な事情があります。
大切なのは、噛む行動だけに目を向けるのではなく、その根底にある気持ちや環境にしっかり寄り添うこと。
そのうえで、無理に仲良くさせようとせず、少しずつ距離を縮めていく工夫が必要です。
また、新入り猫ばかりに気を取られず、先住猫へのケアを忘れずに行うことも非常に重要です。
あなたのテリトリーも、大切にしているよという姿勢が、猫同士の関係をゆるやかに良い方向へ導いてくれます。
焦らなくても大丈夫。
猫たちには猫たちのペースがあります。
噛みつきも関係構築のひとつの過程として受け止めながら、じっくりと信頼を育てていきましょう。
飼い主のやさしいまなざしと工夫が、きっと猫たちの安心につながっていきます。